イギリスのビザの取得は難しい?ビザの種類と手続きを解説

イギリス ビザの種類

イギリスへのビザ取得は、目的や滞在期間に応じてさまざまな手続きが求められます。そのため、初めて申請する方にとっては手続きの複雑さや必要書類の多さに戸惑うこともあるかもしれません。事前に正しい情報を収集し、手順をしっかりと踏むことで、スムーズにビザを取得できますよ。

この記事では、イギリスビザ取得の難易度や手続きのポイントについて解説します。2020年にイギリス移住した筆者の体験談も、合間に挟んでいきますよ!

1. イギリスのビザの種類

日本のパスポートを持っていれば、ヨーロッパ旅行の際はほぼすべての国で、特別なビザを取得せずに渡航できます。ヨーロッパ諸国が加盟しているシェンゲン協定国では、観光や短期出張などでの90日以内の滞在はビザ取得が免除されているからです。90日を超える長期滞在や、留学生、現地企業での就労、駐在員としてイギリスに滞在するためには、それぞれの目的に応じた適切なビザを取得する必要があります。以下に、主なビザの種類を説明します。

1.1 観光ビザ(Visitor Visa)

観光ビザは短期間のイギリス渡航時に必要となるものです。観光、親族訪問、短期間の学習やトレーニング、ビジネスのなど、渡航目的は様々です。観光ビザは通常、6か月間(180日間)有効です。日本人はイギリス入国時にビザ免除されているため、複数回の入国が可能です。ただ、連続した滞在や頻繁な再入国があると、入国審査時に「真の滞在目的」が疑われる可能性があります。これはイギリスが長期的な非合法滞在を防ぐためです。

長期滞在を希望する場合、2年、5年、または10年有効なマルチエントリービザも選択可能です。ただし、1回の滞在期間は通常6か月までに制限されます。

逮捕歴などのない日本人であれば、パスポートがあれば通常通り入国できるはずだ!

1.2 学生ビザ(Student Visa)

イギリスで6か月以上の学習を行うためには、学生ビザが必要です。これは、語学学校、大学、専門学校などでの学習を目的とするビザであり、以前の「Tier 4 ビザ」に相当します。ビザの有効期間は、コースの長さに応じて決定され、コース終了後に一定期間滞在できる場合もあります。学生ビザを取得するためには、認定された教育機関からの入学許可証(CAS)が必要です。

1.3 ワーキングホリデービザ(Youth Mobility Scheme Visa、YMS Visa)

ワーキングホリデービザ(Youth Mobility Scheme Visa)は、18歳から30歳までの若者が対象で、イギリスで働きながら生活を楽しめる特別なビザ、いわゆるワーホリビザです。この制度は、日本を含む一部の国の若者に提供されており、最大2年間の滞在が可能です。

就労可能で、フルタイム・パートタイム問わず、幅広い職種で働けます。また、一部制限があるものの、学校で学ぶことも可能です。
このビザは、イギリスでの文化体験やキャリア形成の第一歩として、多くの若者に人気があります。

1.4 仕事ビザ(Work Visa)

イギリスでの就労を希望する場合、適切な仕事ビザが必要です。主な仕事ビザには以下の種類があります。

Skilled Worker Visa(就労ビザ)イギリスでのスキル職に就くためのビザで、以前の「Tier 2 (General) ビザ」に相当します。スポンサーとなる雇用主からのオファーが必要です。私が所持しているのがこのビザです。まずは最初に3年分を取得後、その後2年分延長しました。
Intra-company Transfer Visa(駐在ビザ)駐在員用のビザです。同じ企業内での移動により、イギリスで働くためのビザです。通常は、企業の海外支店からイギリス支店への異動を対象としています。
Start-up Visa(スタートアップビザ)イギリスで新たなビジネスを立ち上げるためのビザです。高い成長可能性を持つビジネスアイデアが求められます。
Innovator Visa(起業家ビザ)より経験豊富な起業家向けのビザで、革新的なビジネスアイデアがあり、それを実現するための支援を受けることが条件となります。

現地企業に就職するビザ以外も、オプションが用意されているのがイギリスならではだ!

1.5 家族ビザ(Family Visa)

イギリス国籍を持つ家族や、イギリスに永住権を持つ家族と一緒に暮らすためには、家族ビザが必要です。これは、配偶者、婚約者、パートナー、子供、または扶養家族が対象です。家族ビザは通常2年半の有効期間で、その後更新が可能です。その後、永住権の申請資格も得ることができます。方法は5年滞在ルート(5年間の連続した合法的な滞在)と、10年滞在ルート他のビザカテゴリーを含めて合計10年間の合法的な滞在)の2種類があります。

1.6 永住ビザ(Indefinite Leave to Remain, ILR)

永住ビザ(ILR)は、イギリスでの永住権を得るためのビザです。通常、特定のビザで5年間滞在した後に申請することができます。ILRを取得すると、イギリスで無制限に居住し、就労できるようになります。1年につきイギリスを離れる日数が連続または累積で180日を超えない限りILRステータスは維持されます。しかし、イギリスを 2年以上連続で離れた場合、ILRのステータスは通常、自動的に失効します。

1.7 その他のビザ

上記以外にも、特定の目的に応じたビザがあります。たとえば、短期間のボランティア活動を行うためのボランティアビザ、宗教活動を行うためのReligious Worker Visa、特定のイベントに参加するためのShort-term Study Visaなどです。

他の国ではあまり見ない、様々なビザのオプションがあるのも面白い。

2. イギリスのビザの申請方法

ビザの申請は、オンラインで行えます。以下に、基本的な申請手順を説明します。

2.1 ビザの種類の選定

まず、自分の滞在目的に最も適したビザの種類を選びます。各ビザの要件や必要書類を確認し、申請前に準備を整えましょう。

2.2 オンライン申請

ビザの申請は、イギリス政府の公式サイト「GOV.UK」を通じて行います。申請者はオンライン申請フォームに必要事項を記入し、申請料を支払います。申請フォームでは、個人情報、滞在予定、財務状況、スポンサー情報などを入力します。

2.3 必要書類の準備

オンライン申請の際には、必要書類をデジタル形式でスキャンしたものをアップロードします。一般的に必要な書類には以下のものがあります。

  • パスポート: 有効期限が十分に残っていることが求められます。
  • 証明写真: パスポートサイズの最新の写真。
  • 入学許可証(学生ビザの場合): 学校から発行されるCAS(Confirmation of Acceptance for Studies)
  • 雇用契約書(仕事ビザの場合): 雇用主からのオファーレターや、CoS(Certificate of Sponsorship)書類。
  • 財務証明書: 滞在中の生活費を賄えることを証明するための銀行口座の残高証明書。
  • 健康診断書: 長期滞在の場合、結核検査が必要な場合があります。
  • 英語能力証明: 一部のビザでは、IELTSなどの英語能力テストの結果が必要です。

2.4 指紋・顔写真の提出(Biometric Data)

申請者は、ビザ申請プロセスの一環として、生体認証データ(指紋と顔写真)の提出が求められます。これは、申請者が居住している国の指定された申請センターで予約を取り、指定された日時にセンターを訪れて手続きを行います。

2.5 インタビュー

一部のビザ申請には、インタビューが含まれることがあります。インタビューでは、申請の詳細について質問される場合があります。これにより、申請の正当性や計画の信頼性が確認されます。

私のSkilled worker visaでは、当時滞在していた地域の英国大使館出張所に赴き、30分ほどのインタビューを受けました。非常に物腰柔らかな男性黒人担当者にご対応いただいたのを覚えています。

面接は、Lotusのクッキーとお茶をもらい、他愛もない話からスタートしました。その後、申請内容を書類と照らし合わせながら、内容のダブルチェックを一緒に実施していきました。足りない資料などがあったときは、その場で資料のスキャンを取ってくれるなど、優しい担当者さんでしたね。

2.6 結果の受領

ビザの審査には数週間から数か月かかる場合があります。結果は、オンラインで確認できるほか、メールや郵送でも通知されます。申請が承認されれば、パスポートにビザが貼付され、滞在期間と条件が明記されます。

3. イギリスのビザの申請にかかる費用

ビザの申請には費用がかかります。費用は、ビザの種類や滞在期間によって異なります。

主なコストは、ビザの申請料と健康保険料で、必要に応じて英語テスト代や資料代となります。これらに加えてさらに追加料金を払えば、提出資料のデジタル化や申請期間の短縮化などの様々なオプションを購入することができます。

オプション料金は安くないため合計費用が高くつきますが、お金さえ払えば解決できる点は便利ではありますね。

3.1 申請料の概要

申請料は、ビザの種類によって異なります。一般的なビザの申請料は以下の通りです。

ビザタイプビザ申請コスト
観光ビザ(Visitor Visa)約100〜200ポンド
学生ビザ(Student Visa)約348ポンド
就労ビザ(Skilled Worker Visa)約610〜1,220ポンド
家族ビザ(Family Visa)約1,523ポンド
永住ビザ(ILR)約2,389ポンド

これらの金額は2024年時点のものであり、変更されることがあるため、申請前に最新の情報を確認してください。

ビザ申請コストを円換算すると、どれも意外とコストが高いことに驚愕!

3.2 健康保険料(Immigration Health Surcharge, IHS)

イギリスで6か月以上滞在する場合、移民健康保険料(IHS)を支払う必要があります。これは、NHS(国民保健サービス)を利用するための費用であり、ビザの申請時に支払います。金額は、年間約624ポンドで、ビザの有効期間に応じて支払額が決まります。たとえば、2年間のビザを申請する場合、約1,248ポンドのIHSを支払うことになります。

3.3 その他の費用

  • 生体認証データ(Biometric Data)提出費用: 一部の国では、生体認証データを提出する際に追加料金が発生する場合があります。
  • 英語テスト受験料: 英語能力証明が必要な場合、IELTSなどのテスト受験料(約150〜200ポンド)がかかります。
  • 翻訳費用: 申請書類が英語以外の言語で記載されている場合、公式な翻訳が必要です。翻訳費用は文書の量によって異なります。
  • 法律・ビザコンサルタントの費用: ビザ申請のサポートを専門のコンサルタントに依頼する場合、その費用が別途かかります。

3.4 支払い方法

ビザ申請料は、オンライン申請の際にクレジットカードまたはデビットカードで支払います。支払いが完了すると、支払い確認書が発行され、申請プロセスが進められます。

4. イギリスのビザの申請時に役立つ情報

ビザ申請プロセスでは、提出書類の準備不足や不備があると申請が遅延したり、最悪の場合は拒否されたりすることがあります。万が一の事態に陥らないように、ビザ申請の専門家と一緒に、申請資料を用意することがオススメです。

私はSkilled worker visaのスポンサーを出してくれた会社の指示に従い、資料を準備しました。運良く、再提出を求められることはありませんでした。

4.1 申請前の準備

ビザ申請の準備は早めに始めることが重要です。必要書類をすべて揃えるには時間がかかることがあります。特に、入学許可証(CAS)や雇用契約書など、他者から提供される書類は、思いもかけず取得に時間を要する場合があります。

私のように、海外大学卒業経験がない場合、英語能力を証明する資料がありません。多くの現地企業採用移民は海外大学卒業履歴を保持しているため、担当者がこの書類の必要性に気づくのが遅く土壇場で慌ててIELTSを受験しました。IELTSは定期開催されてはいるものの、与えられたテスト準備期間は短く、ほぼノー勉で臨む羽目となりました。

半日以上にわたるテスト時間も心身的に辛いものがありましたが、事前に海外勤務経験があったおかげか、なんとか提出可能なスコアを入手できました。

4.2 書類の正確性と完全性

当たり前の話ですが、提出する書類は、すべて正確で完全なものでなければなりません。不正確な情報や不完全な書類は、申請拒否の原因となる可能性があります。すべての書類は、原本を用意し、必要に応じて公式な翻訳を付けることが求められます。

特に面倒だったの、過去に渡航した国名と期間を全て書き出す必要があることです。イギリスでのビザ延長時や永住権申請時も提出する必要がある、重要書類です。

正直、ビザの担当者がどこまで履歴を確認しているのかはわかりません、、、が、嘘をつかないには越したことがないだろうの精神で、パスポートスタンプと過去のカレンダーを漁りながら、とにかく書き連ねたものです。

4.3 申請プロセスの確認

申請プロセス中は、GOV.UKのアカウント内でステータスや進捗状況を確認できます。必要であれば追加書類の提出要請などに対応します。指定された期限内にすべての手続きを完了するように注意しましょう。

4.4 ビザの有効期限と滞在期間の管理

ビザが発行された後は、有効期限と滞在可能な期間を厳密に守ることが重要です。ビザの有効期限が切れる前に滞在を延長する必要がある場合、早めに更新手続きを開始してください

4.5 帰国時のビザ条件の確認

イギリスから一時的に出国し、その後再入国する場合、ビザ条件を確認することが重要です。

一部のビザでは、再入国時に特定の条件が課されることがあり、これを守らないと再入国が拒否される可能性があります。

4.6 法律・ビザコンサルタントの活用

申請プロセスが複雑で不安がある場合、専門の法律・ビザコンサルタントの助けを借りるのも一つの方法です。彼らは、最新の法規制に精通しており、申請プロセス全体をサポートしてくれます。

現地企業就職であれば人事担当者を、語学学校への入学予定があればAdmin担当者を、遠慮なく頼りにしましょう!

4.7 最新情報の確認

ビザに関連する規制や手続きは頻繁に変更されることがあります(イギリスはルール変更が頻繁に起こります)。

常に最新の情報を公式サイト(GOV.UK)で確認するようにしてください。申請前には、イギリス政府や大使館、領事館のウェブサイトで最新のビザ情報を確認することが重要です。

まとめ

イギリスのビザ取得は、目的に応じて様々な種類があり、それぞれのビザに対して異なる申請手順や費用が求められます。申請プロセスは複雑ですが、適切な準備と正確な情報提供によって成功の可能性が高まります。

ビザ取得はイギリスでの滞在を実現するための重要なステップであり、細心の注意を払って進めることが求められます。皆様のイギリス渡航がより良いものとなりますよう!

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