イギリスでの就労を目指す際、最も重要なのが「就労ビザ」(Tier2ビザ)です。特にイギリスでは、多様なビザ制度が用意されており、それぞれのビザには異なる取得条件や申請手続きが定められています。
この記事では、イギリスでの就労ビザの種類や取得条件、スポンサーの役割、審査期間、そして最新の情報について詳しく解説します。これからイギリスで働きたいと考えている方、またはビザ申請を控えている方に役立つ内容をお届けします。
1. イギリス 就労ビザの種類
イギリスには複数の就労ビザがあり、それぞれ異なる条件や対象が設定されています。主な就労ビザの種類は以下の通りです。
1.1 Skilled Worker Visa(旧Tier 2ビザ)
Skilled Worker Visaは、イギリスで最も一般的な就労ビザです。
これは、高度なスキルを持った外国人労働者を対象としたビザで、イギリス国内の企業からのスポンサーシップが必要です。このビザでは、申請者がイギリス政府の職業リストに掲載されている仕事に従事し、必要なスキルや資格を持っていることが条件となります。加えて、年収が一定額以上であることも求められます。
1.2 Global Talent Visa
Global Talent Visaは、科学、芸術、デジタル技術の分野で突出した才能を持つ個人に向けたビザです。このビザはスポンサーを必要とせず、イギリス国内外での著名な実績があれば申請可能です。審査は通常厳しいですが、成功すれば5年間の就労が許可され、永住権申請も視野に入ります。
1.3 Innovator Visa
Innovator Visaは、革新的なビジネスアイデアを持ち、それを実現したい起業家に対して発行されるビザです。このビザを申請するには、ビジネスプランがイギリスで承認された「認定機関」によって支持される必要があります。申請者はまた、イギリスでの事業に一定額の資金を投資できることが条件です。
1.4 Temporary Worker Visa(Tier 5ビザ)
Temporary Worker Visaは、短期間の仕事やインターンシップ、特定の業界での一時的な雇用に従事するためのビザです。このビザは通常12ヶ月以内の短期契約に適用され、スポンサーが必要です。また、スポーツ選手やクリエイティブ分野(役者やミュージシャンなど)で働く人々向けのサブカテゴリもあります。
2. イギリス 就労ビザの取得条件
各ビザの種類に応じて、取得条件は異なります。ここでは、代表的なSkilled Worker Visaの取得条件について詳しく解説します。
2.1 職種とスキル要件
Skilled Worker Visaの取得には、イギリス政府が定める「Shortage Occupation List」に記載されている職種であることが基本です。これは、イギリス国内で需要の高い職業のリストで、あらゆる職種が含まれます。特定市場向けのマーケティングや営業など、適用される職種は様々です。
また、申請者は職務に必要なスキルや資格を持っていることが求められます。たとえば、技術職や医療系の職種では、専門的な資格の証明が必要です。
2.2 英語能力
就労ビザを取得するためには、一定レベルの英語能力も必要です。具体的には、英語のテスト(IELTSなど)でB1レベル以上のスコアを取得することが一般的な条件です。この要件は、英語圏出身者や現地大学卒業者に対しては免除されます。
2.3 最低年収要件
Skilled Worker Visaを申請するためには、年収が最低でも£26,200(約400万円)以上であることが必要です。ただし、「Shortage Occupation List」に記載されている一部の職種については、年収要件が若干低くなることもあります。
2.4 経済的証明
申請者は、イギリスで生活できるだけの資金を持っていることを証明する必要があります。一般的には、少なくとも£1,270(約20万円)を証明する必要があります。また、これはビザ申請前の28日間、連続して銀行口座に保持されていることが求められます。
これは、イギリスでビザを申請する際の「28日間ルール」と呼ばれます。自分の口座に安定的に資金が入っていることを証明するためのものですね。詳しくは、以下の記事でも解説しています。
3. イギリス 就労ビザのスポンサー
イギリスでの就労ビザ取得において、スポンサーが非常に重要な役割を果たします。特に、Skilled Worker VisaやTemporary Worker Visaでは、申請者がスポンサーを得ることが必須条件となります。
3.1 スポンサー企業とは
スポンサー企業とは、イギリス政府により認定された雇用主であり、外国人労働者を雇用するためのライセンスを保有しています。スポンサーになるためには、企業がイギリスで合法的に活動しており、特定の基準を満たしていることが必要です。
3.2 スポンサーの役割
スポンサーは、申請者に対して「CoS(Certificate of Sponsorship)」を発行します。これがなければ、申請者はビザを取得できません。CoSは、申請者の雇用条件や仕事内容、給与が記載された重要な書類です。また、スポンサーは外国人労働者の働きぶりを監督する義務も負います。
3.3 スポンサーを見つける方法
スポンサー企業を見つけるためには、イギリスの求人サイトや企業の採用ページを確認しましょう。特に、スポンサーシップを提供している企業は、自社の求人情報にその旨を記載していることが多いです。さらに、政府の公式サイトにはスポンサーライセンスを持つ企業リストが掲載されていますので、そこから候補を探すこともできます。
私が就職活動をした際は、Linkedinでの求人広告を端から端まで追いかけていました。50件以上応募して、やっと1件の内定を取るくらいの気持ちで頑張るのが大事です。イギリス社会では、移民はマイノリティですからね。
4. イギリス 就労ビザの審査期間
ビザの審査期間は、ビザの種類や申請時期によって異なります。一般的な目安として以下の期間がかかります。
4.1 Skilled Worker Visaの審査期間
通常、Skilled Worker Visaの審査には3〜8週間ほどかかります。繁忙期や追加書類の提出が必要な場合には、さらに時間がかかることがあります。また、審査を早めたい場合は、Priority Service(500~1000ポンド)を利用することで、1日~1週間で審査が完了する場合もあります。
4.2 Global Talent Visaの審査期間
Global Talent Visaは、通常4〜8週間ほどで審査が行われます。こちらも審査を早めるオプションがあるため、急ぎの場合には優先審査を利用することが可能です。
4.3 Innovator VisaやTemporary Worker Visaの審査期間
Innovator VisaやTemporary Worker Visaは、通常2〜6週間で審査が完了します。こちらも、特に早く処理したい場合は追加料金を支払ってPriority Serviceを利用できます。
5. イギリス 就労ビザの最新情報
2024年におけるイギリスの就労ビザ制度には、大きな変更は見られていませんが、移民政策やビザの取得条件は時折変更されることがあります。最新の情報を得るためには、イギリス政府のホームオフィス(Home Office)の公式ウェブサイトを定期的に確認することが重要です。
5.1 最近の法改正やビザ制度の変更
近年、イギリス政府は移民政策を見直し、より柔軟で人材を呼び込む体制を整えています。特に、デジタル分野や医療分野における労働者に対しては、ビザ要件が緩和される傾向があります。
一方で、不法就労を防ぐための取り締対策も強化されており、ビザの不正使用や不正なスポンサー企業への罰則が厳格化されています。
このため、最新情報を常に確認し、正しい手続きでビザを取得することが重要です。
5.2 新たなビザプログラムの導入
2024年時点では、新たなビザプログラムの導入は発表されていません。しかし、以前に導入された「Graduate Visa」や「High Potential Individual Visa」など、若手プロフェッショナルや学生向けのビザが拡充されています。これにより、イギリスでの就労機会が広がり、卒業後にイギリスでのキャリアをスタートさせたい留学生にも門戸が開かれています。
6. イギリス 就労ビザ申請の注意点とアドバイス
就労ビザを申請する際には、細かい手続きや条件をしっかりと把握し、ミスなく進めることが大切です。ここでは、いくつかの重要な注意点とアドバイスを紹介します。
6.1 書類の不備に注意
ビザ申請で最も多い問題の一つが、書類の不備です。必要な書類が全て揃っていない、誤った情報が記載されている場合、申請が遅れるか、最悪の場合却下されることがあります。
特に、スポンサーシップ証明書や、給与明細、雇用契約書などの重要な書類は、必ず最新のものを用意しましょう。
6.2 タイムラインを守る
イギリスのビザ申請は、余裕を持って進めることが重要です。審査には数週間かかるため、出発の直前ではなく、少なくとも2〜3ヶ月前に申請手続きを始めることが推奨されます。また、ビザの更新をする場合も、期限が切れる前に余裕を持って申請を行う必要があります。
6.3 プロフェッショナルなサポートの活用
就労ビザの申請プロセスは複雑で、多くの書類や条件を満たす必要があるため、専門家のサポートを受けることも一つの選択肢です。ビザ申請に詳しいコンサルタントや弁護士に依頼することで、申請手続きがスムーズに進むことが期待できます。また、最新の情報や法改正にも精通しているため、的確なアドバイスを得ることができます。
7. まとめ
イギリスの就労ビザを取得するためには、ビザの種類や取得条件、スポンサーの役割、審査期間など、多くの要素を理解しておく必要があります。特にSkilled Worker Visaのような一般的なビザでは、職種や年収、英語力などの厳しい基準をクリアする必要がありますが、これを満たせばイギリスで働くための扉が開かれます。
また、ビザ申請にはスポンサーが必須であり、企業が正式なスポンサーライセンスを持っていることを確認することが重要です。審査期間や最新情報についても、常に最新の情報を把握し、トラブルなくスムーズに手続きを進めましょう。
2024年の最新情報では、大きな制度変更は見られませんが、将来的にはさらに柔軟なビザ制度や新しいプログラムが導入される可能性もあります。
イギリスでの新しいキャリアのスタートに向け、正確な情報と適切な準備をもって、就労ビザの申請を成功させましょう。