イギリス料理は本当にまずい？理由とおすすめ料理

イギリス料理は「まずい」というイメージがありませんか？このイメージが定着してしまった背景には、さまざまな要因があります。

この記事では、イギリス料理が「まずい」と言われる理由を掘り下げていきます。

イギリス料理がまずいと言われる理由

イギリス料理は、シンプルで素材そのものの味を活かす傾向があります。この「素朴さ」が、スパイスやハーブを多用する他国の料理と比較され、「味付けが薄い」と評価されるようになりました。

特に、フランスやイタリア料理のように、豊富なソースや香辛料を用いる料理が主流の地域から訪れる人々には、イギリス料理の控えめな風味が物足りなく感じられることがあります。

イギリスでは、食事が「社交の一部」という位置づけが他国と比べて薄く、「腹を満たせれば良い」という実用性が強調される傾向にあります。そのため、家庭料理でも凝った味付けを追求するよりも、簡単に調理できるものが好まれてきました。この文化も、結果として「味が薄い」と評価される原因にもなっています。

また、食材選びよりも調理の効率を優先する風潮が長年続いたため、食材の質よりも保存期間の長さが重要視されてきました。この結果、料理全体の風味が落ち、シンプルな調理法と相まって「美味しさに欠ける」と言われるようになったのです。

イギリス料理の「まずい」というイメージは、口コミやメディアによる偏った情報の影響も大きいと言えます。例えば、映画やドラマでユーモアとして描かれる「イギリス料理はまずい」というステレオタイプが、国際的に広がっていきました。

イギリスの料理がまずい歴史背景

さまざまな要因が複合的に絡み合い、イギリス料理が「まずい」と評価される。イギリス料理の「まずい」というイメージには、歴史的な背景も関連しています。

産業革命による食文化の変化

産業革命の影響でイギリスでは食文化が大きく変化しました。大量生産が進んだことで、食材の質が二の次となり、保存が効く加工食品が一般的に。忙しい労働者階級には、時間を節約するために簡素な食事が好まれました。この時代の変化はイギリス料理の「質が低い」というイメージを助長しました。

一方で、地元の新鮮な食材を活用した伝統的な料理がいまも残っています。例えば、スコットランド産のサーモンやコーンウォールのクリーム料理は、世界的にも高評価です。

戦争による食料不足と代替品

20世紀にイギリスが直面した2度の世界大戦では、食料不足が深刻化し、多くの家庭が代用品を用いるようになりました。この時期、食品の配給制が導入され、味を追求する余裕がなくなりました。

しかし戦後、豊富な食材が再び市場に出回るようになると、伝統料理が復活。例えば、バターや生クリームをたっぷり使ったデザートや、ローストビーフとヨークシャープディングといった豪華な家庭料理が再評価されました。

イギリス料理は観光客から「不評」

「イギリス料理がまずい」という評価が広まったのは、観光客や移民の増加がきっかけとも言われます。調味料が少なくシンプルな料理が多いイギリスでは、「手間をかけない」特徴がマイナスに捉えられることがありました。

また、観光客がイギリスの本格的な料理ではなく、簡素なパブのランチやスーパーの弁当（レディーミール）に頼った場合、それを基に「イギリスのご飯はまずい」と感じることも多いでしょう。特に欧米文化では、塩コショウの味付けは個々人に委ねられています。このように、一部のネガティブな体験が大きく拡散され、実際以上に悪いイメージが形成されています。

実は美味しいイギリス料理

「イギリス料理はまずい」という印象が広まっていますが、実は有名なパブや、革新を遂げた高級レストランの料理には、美味しい食事が存在します。

高評価の家庭料理

イギリスの家庭料理は、素朴でありながら滋味深い味わいが特徴です。

イギリスの家庭料理	特徴
ローストディナー	日曜日に食べることが多い「サンデーロースト」は、イギリス人の伝統的な家庭料理です。ジューシーなローストビーフに、ホクホクのローストポテト、ヨークシャープディングを添えた一皿は満足感たっぷり。特製のグレイビーソースが料理全体を引き締めます。
コテージパイ	挽肉を野菜と煮込んでマッシュポテトで覆い、オーブンで焼いた料理。家庭で手軽に作れるため、イギリス人にとっての「おふくろの味」として親しまれています。
フィッシュパイ	魚介をクリーミーなソースで煮込んでマッシュポテトを重ねた料理。サーモンや白身魚をたっぷり使うことで、シンプルながらも奥深い味わいを楽しめます。

高級レストランでのイギリス料理

近年、イギリス料理は高級レストランのシーンで大きな進化を遂げています。伝統料理をモダンにアレンジしたメニューや、地元産の高品質な食材を使ったクリエイティブな料理が世界中の注目を集めています。

イギリス料理を世界的に評価されるものに押し上げたのは、名だたるシェフたちの存在です。例えば、ゴードン・ラムゼイやヘストン・ブルメンタールといったミシュラン星を持つシェフたちです。

また、地産地消を推進し、地元の農家や漁師から直接食材を仕入れるレストランも増加。この動きにより、旬の食材を活かした伝統的なイギリス料理が再評価されています。

例えば、「ザ・リッツ・ロンドン」のレストランでは、クラシックなイギリス料理を現代風に洗練させた「ローストタルト」が人気。地元の食材と洗練されたプレゼンテーションが融合した一皿は、訪れる人々を魅了しています。

イギリス・人気の伝統料理3選

イギリス料理の中でも特に人気があり、現地でぜひ試してほしい3つの料理を紹介します。

フィッシュアンドチップス

フィッシュアンドチップスは、イギリス料理の代名詞ともいえる存在です。カリッと揚げられた白身魚（タラ）とホクホクのフライドポテトが、地元でも観光客にも愛されています。
美味しいフィッシュアンドチップスを楽しむコツは、熱々の状態で食べること。モルトビネガー（麦芽酢）や塩を振りかけると、さらに風味が引き立ちます。

おすすめの店としては、ロンドンにあるPoppies Fish & Chipsや、ブライトンのThe Regency Restaurantが有名です。どちらも地元の人々に愛される老舗で、鮮度抜群の魚を使っています。

発祥と歴史

この料理は、19世紀の産業革命期に労働者向けの手軽な食事として誕生しました。当時はタラ（コッド）やハドックといった魚が豊富に取れたため、揚げた魚を新聞紙で包み、手軽に提供する形が人気となりました。

イギリスの港町や工業都市で始まり、瞬く間に全国へ広がったフィッシュアンドチップスは、今やイギリスの国民食ともいえる存在です。

スコーンとアフタヌーンティー

スコーンは、イギリスのアフタヌーンティーには欠かせない存在です。外はサクサク、中はしっとりとした食感の焼き菓子です。

スコーンは、クロテッドクリームとストロベリージャムを添えて楽しむのがイギリス流。ロンドンのThe RitzやFortnum & Masonで提供されるアフタヌーンティーは、一度は体験したい伝統的なティータイムです。

シェパードパイ

シェパードパイは、イギリスの家庭料理の定番として親しまれています。ひき肉とマッシュポテトを使ったシンプルながらも満足感のある一品です。

シェパードパイは、家庭でも手軽に作れるうえ、冷凍保存も可能なので作り置きにもぴったりです。スーパーにもバリエーションが沢山ありますよ。

イギリスで挑戦したい独特な料理3選

さらにイギリス料理には、世界でも珍しい食材や調理法が用いられた独特な料理が存在します。ここでは、ぜひ挑戦してほしい3つの個性的な料理を紹介します。もしかすると、少し勇気が必要かもしれません😆

ブラックプディング

ブラックプディングは、イギリスの伝統的なソーセージの一種で、豚の血液を主な材料として作られています。濃厚で独特な味わいが特徴です。

なぜ独特な味とされるのか？

ブラックプディングの独特さは、主原料である豚の血液とオートミールの組み合わせにあります。この食材の特性上、独特の鉄分の風味と濃厚な食感が苦手と感じる人もいる一方で、好きな人にとっては癖になる味わいです。

この料理は、イングリッシュブレックファストの一部として提供されることが多く、カリッと焼かれたブラックプディングは、卵やベーコンとの相性が抜群です。初めて挑戦するなら、地元のパブやカフェで試してみるのがおすすめです。

ウナギのゼリー寄せ

ウナギのゼリー寄せ（Jellied Eels）は、ロンドンのイーストエンドで伝統的に食べられてきた料理です。煮込んだウナギをゼラチン状に固めた、ユニークな一品です。

この料理の最大の特徴は、ウナギの自然なゼラチン質を利用して固めた独特のテクスチャーです。冷たい状態で提供されることが多く、甘酸っぱいピクルスソースや酢をかけて食べるのが一般的です。

一方で、ゼラチンの食感や独特な魚の風味が好みを分ける要素となります。挑戦する際は、地元のフィッシュマーケットや伝統料理を提供するレストランで新鮮なものを選ぶことをおすすめします。

トード・イン・ザ・ホール

トード・イン・ザ・ホールは、ソーセージをヨークシャープディングの生地で包んで焼き上げた家庭料理です。その名前や見た目からユニークな印象を与える一品です。

この料理は、見た目が「穴にいるカエル（トード）」に似ていることからこの名前が付けられました。名前に驚く人も多いですが、実際には香ばしいソーセージとふんわりとした生地が絶妙な組み合わせとなっており、食べやすい味わいです。

トード・イン・ザ・ホールは、グレービーソースをたっぷりとかけて食べるのが一般的です。家庭で作るのも簡単で、イギリスの家庭料理を体験するのにぴったりな一品です。

とはいえ…最近のイギリス料理事情

近年、イギリス料理は「まずい」というイメージから脱却し、多様性と質の向上で注目を集めています。

移民文化がもたらす味の多様性

イギリスは多文化社会であり、移民の影響を大きく受けた食文化が発展しています。インド、タイ、中国、中東など、さまざまな国の料理がイギリスの食卓に浸透し、地元の食文化と融合しています。

例えば、イギリスで国民的に人気のある「チキン・ティッカマサラ・カレー」は、インド料理がイギリスでアレンジされて生まれた料理です（バターチキンカレーの味の薄い版といった味わい）。このように、伝統的なイギリス料理に新しいエッセンスを取り入れることで、味の幅が広がり、世界の食文化を反映した独自のスタイルが確立されています。日本みたいですね。

地産地消のトレンド

イギリス各地では、地元農家が直接販売するファーマーズマーケットが人気を集めています。新鮮な野菜や果物、肉類、乳製品が手に入りやすくなり、レストランや家庭料理にも高品質な食材が使われるようになりました。

イギリス料理の「健康志向」への変化

健康志向の高まりを受けて、イギリス料理にも変化が見られます。従来の揚げ物や脂っこい料理に代わり、ヘルシーな調理法や食材が採用されるようになりました。

例えば、フィッシュアンドチップスも油を抑えたバージョンが登場しており、サイドメニューには新鮮なサラダやスーパーフードが添えられることが増えています。また、ビーガンやベジタリアンの選択肢も豊富です。

イギリス料理は、移民文化や地産地消のトレンドを通じて多様性と質の向上を実現しています。伝統を守りながらも、現代のニーズに応える新しいスタイルを取り入れることで、イギリスの食文化は進化し続けています。

イギリス料理を楽しむコツ

イギリス料理は、「まずい」という先入観を持たれがちですが、現地での楽しみ方を知ることで、その魅力を十分に味わえます。旅行や留学でイギリスを訪れる際に、イギリス料理を最大限に楽しむためのコツを紹介します。

おすすめの食事スポット

イギリスで美味しい料理を味わうためには、どこで食べるかが重要です。観光地だけでなく、地元の人々に愛されるスポットを探すことで、本場の味を堪能できます。

「ブリクストン・マーケット」や「カムデン・マーケット」では、イギリスの伝統料理だけでなく、他国の料理との融合が見られるのも魅力の一つ。手軽に食べられるフードトラックのメニューをぜひ試してみてください。

地元で愛されるパブ料理

イギリスのパブ文化は、日本人にとっての居酒屋です。パブでは、「フィッシュアンドチップス」や「シェパードパイ」「ハンバーガー」などの定番料理をリーズナブルな価格で楽しめます。

パブなら、イギリス最安値と呼び声の高い国民的チェーン店「Wetherspoon」は欠かせませんよ！

地元の雰囲気を味わいながら食事をするなら、小さな村や郊外のパブもおすすめです。「サンデーロースト」や「プラウマンズランチ」といった家庭的なメニューが揃っている場合もあります。口コミやレビューを参考に、評判の良いパブを探してみましょう。

ローカルレビューを活用する

イギリスでは、観光客向けの情報だけでなく、ローカルの人々が書いたガイドやレビューが役立ちます。サイトによっては、お得なクーポンが出ていることも！

サイト名	サイトの特徴
Google Map レビュー	幅広いユーザーからのレビューが集まり、個人的な体験や詳細なフィードバックを得やすい。評価数が多いため信頼に足りる半面、観光客で評価レートはインフレ傾向。
Time Out	厳選されたレストランの紹介が多く、特に都市部のトレンドや新しい飲食店、期間限定クーポンが豊富。
Open table	レストラン予約機能と一体化しており、実際に訪れた顧客からのレビューが中心。
Soft launch london	新店や注目店のオープン前のレストランの「ソフトローンチ」に焦点を当て、期間限定でお得に食べられる。

イギリス滞在での食事探し

イギリス滞在中のリーズナブルで美味しい食事探しは、旅行者や留学生にとって死活問題ではないでしょうか。「イギリスはご飯がまずい」というイメージを払拭するためにも、自分の好みに合った食事プランや場所を選びましょう。

予算ごとの食事プランの立て方

イギリスでは、予算に応じて幅広い食事オプションが用意されています。旅行者や滞在者が賢く食事を楽しむためには、計画を立てることが大切です。

リーズナブルに済ませたい場合
パブランチやカフェでの軽食がおすすめです。「Meal Deal（ミールディール）」というお得なセットメニューがスーパーマーケットやコンビニで提供されています。サンドイッチ、スナック、ドリンクのセットを5ポンド程度で楽しめます。

少し贅沢したい場合
高評価のレストランやガストロパブに足を運ぶとよいでしょう。特に、日替わりメニューやランチタイムのセットメニューはお得感があります。ロンドンやエジンバラなどの都市部では、予約必須の人気店も多いので事前にチェックしておくことをおすすめします。

自炊をしたい場合
滞在先にキッチンがある場合は、自炊が費用を抑える一番の方法です。スーパーマーケットや地元市場で購入した新鮮な野菜や肉で、イギリス料理をアレンジして楽しめます。

イギリスのスーパーマーケット解説

イギリスを代表するスーパーマーケットチェーンには、それぞれ以下のような特徴があります。

スーパー名	スーパーの特徴
セインズベリー（Sainsbury’s）	質の高い食品と手頃な価格で知られています。ミールディールや手軽に温められる惣菜が豊富です。 Nectarカードでさらに割引率アップ！
テスコ（Tesco）	イギリス最大のスーパーマーケットチェーンで、手頃な価格の商品が揃っています。特に「Tesco Finest」ブランドは、少し高級な食材を楽しみたい人におすすめです。
ウェイトローズ（Waitrose）	高品質な商品が多く、ワンランク上の食品を探している場合に最適です。他のスーパーより少し値段が高めですが、その分味や品質、商品のバリエーションが段違いです。
M&Sフード（Marks & Spencer Food）	上質な惣菜やスイーツが充実しており、特別な日に利用するのにぴったりです。
アズダ（Asda）やリドル（Lidl）、アルディ（Aldi）	リーズナブルな価格設定が特徴で、節約を意識している方にはぴったりです。特に、リドルとアルディは新鮮な野菜や果物が安く手に入ります。

まとめ－イギリス料理の魅力

「イギリス料理はまずい」というイメージは、歴史的背景や食文化の変遷から生じたものですが、現在では多様な視点でその魅力が再発見されています。

ぜひ、イギリス滞在中は、観光地だけでなく地元の市場やレストランにも足を運び、現地の食文化に触れてみてください。ぜひその一口で、ローカルなイギリスの魅力を味わってみましょう！